マブラヴ オルタネイティヴ
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- 出版社/メーカー: アージュ
- 発売日: 2006/02/24
- メディア: DVD-ROM
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でまあ、感想なんですが、なんていうかとにかく疲れたという感じです。とても面白かったし満足はしているのですが、苦痛でもあったなと。もう終わっちゃうのかというより、やっと終わってくれたという安堵感もあった気がします。練りに練られたシナリオといい、何度も涙を誘う演出といい、素晴らしい出来だったと思いますが、それでももう一度プレイする気は起きません。恐らくこの作品は賛否両論入り混じる評価になりそうですね。
グロシーンやメインヒロインが全てえげつない死に方をする展開とかに拒否を示すプレイヤーが多そうですが、それ以外のストーリー展開・演出面での不満点をいくつか上げると、
- 総戦技評価演習をクリアする4章までが、前作の繰り返しに近いのでとても退屈
- 結局主人公は成長していない。冥夜を撃つシーン、感動的に演出していたみたいだけど、主人公のダメダメっぷり、信用されなさっぷりにイライラさせられて、これぽっちも感動しなかった。この場面に限らず、緊迫した場面でも暢気に長々と会話や回想が続くシーンが多くて、イライラさせられる
- 結局あの世界でのBETAとの戦いにおいて、何も問題は解決していない。炭素系知的生命体の存在を認めさせないと、新たな上位存在が送り込まれるだけでは?
- ところどころで主人公が馬鹿。プレイヤーが疑問に思っていることを主人公も疑問に思ってくれないと、感情移入しにくくなる
- 全体的に冗長。BETAが単に力押しで来るだけの敵なので、うんざり感は余計に強かったのかも
とまあ色々あるわけですが、やっぱりラストの冥夜を撃つシーンでのイライラが、全てのイメージを台無しにしてしまった感が強い。それまでは良かったんですけど。仲間を撃つという手を汚す行為に対する葛藤を長々と演出するのはいいのですが、もう少し状況的に切羽詰っていないときにやって欲しかった。もしくは何らかのエクスキューズが欲しかった。たとえばカウントダウンが表示されるなどして、タイムリミット的なものを示してくれれば、その期間での葛藤はOKなんだし。結果的に粒子砲を撃つことが出来たからよかったものの、躊躇っているうちにBETAの気が変わったりトラブルでも起きれば人類は終わりなんだから。それにBETA説得を途中で放り投げてしまったのも納得いかない。
半日経って冷静になって考えてみると、このゲーム、面白かったというより衝撃的だったという方が正確かもしれません。メインヒロインを全員死亡させるゲームというのも珍しいでしょうから。
正直言って、もう一度このゲームをやりたいとは思わないし、仮にファンディスクが出てもやりたいと思いません。ストーリーが一本道というのもあるけど、この世界での分岐時空の存在を示してしまったのでは、設定上の矛盾が生じるから仕方ないかな。クリア後にCGコンプメニューや回想シーンなどが無いのも、見たいと思うユーザーが少ないだろうとメーカー側は判断したんでしょうね。
※追記
霞がEXの世界に来てしまったら、オルタの世界で誰が冥夜たちの最後を語り続けていくんでしょうか? 記憶を保ったままEXの世界にやって来るという描写は不要だったように思います。
※追記2
主人公は死んではいけないという設定だったために、いかに生きるか・いかに死ぬかという生き様や死に様に対して、最後まで仲間たちとの間で共通認識を得られなかったのが、このゲームの設定上の致命傷ではないかと思います。だって最後の場面、もし主人公と冥夜が逆の状況だった場合、あの時点で因果導体から解放されたことを知らない主人公は、絶対に撃てとは言えないんだから。
プレイヤーのほとんどは気付いていたでしょうから、もっと早くに純夏が因果導体の原因だったことを明らかにしてもよかったのに。そしてループの輪からも外れたことを明らかにして、主人公に仲間たちと同じだけの覚悟を持たせれば、最後の作戦もグダグダにならずに済んだように思います。
10章の桜花作戦はゲームの演出という意味では、失敗と言ってもいいでしょうね。よくよく考えたら、主人公はこの作戦では最後に粒子砲を撃っただけですし、カタルシスも全然ない。主人公の一人称視点で進んでいた世界が、この10章は他のキャラ視点で描写されることがほとんどで、感情移入を阻害されたというのもあるかもしれません。プレイヤーはメインヒロインたちが死んでいったシーンを目にしているけど、主人公は暢気にダミーマーカーを見て安心しているだけ。そのギャップでプレイヤーと主人公とのシンクロ率が低下したまま、冥夜を撃つシーンに差し掛かったため、早く撃てよとしか思えなかったというのも大きな理由と言えそうです。
9章までは神ゲー認定していたんだけどなぁ。少しばかり残念です。
※追記3
クリア後のサウンドモードやCG閲覧モードが無いのって、サントラやファンディスクを売りつけるためだったんですね。そういうのってエロゲー業界では普通のことなのかな?